好評につき~口福探訪シリーズ;鮨職人③

『ここまで来れたのも、皆さんのおかげです。』最後に鉄砲を食した後、思わず口をついた「旨いッ!」の一言に、はにかみながら28歳の若い大将は、仕入れ先や同業の方々に対する感謝の言葉を返してきた。

世間では、新鮮でうまいなどと言って味の解らぬ中高年が相手の、寿司屋と称するつまみ屋が横行する中で、“真の和食とは、鮨とは何なのか”改めて気づかされた。“これを食べずに死に行く方はかわいそう。仮にこれが最後の晩餐になったとしても、成仏できない人はいないだろうな”。店を出る時、自然にそう思えた。

JR九州の高額列車、七つ星に和食を提供する老舗やま中。その支店である博多駅くうてん店の元店長、田中一矢氏が今回取り上げる大将。中学校卒業後13年間の宮仕え期間を経て、満を持して4月21日に独立開業を果たした叩き上げの職人。大将田中さんの同店在職当時は、「やま中の田中」ではなしに、『田中のやま中』とも呼ばれていた、絶対的エースであった。

マグロが弱いと言われる当地区であるが、生の赤身は二種類の産地から。そしてトロもまた違う魚体で異なる産地。つまり、同じマグロでも、異なる三本を仕入れている。聞けば、マグロ以外にも魚それぞれに仕入れ先が多岐にわたっているようだ。味の向こうに、仕入れ先との信頼関係が透けて見える。

豊前の赤貝と紐は、閖上産並みの堅い食感が感動的。対馬産のアナゴは出身母体の味そのもの。白みる貝も地元産。岡山産とは異なり、磯の香りが口いっぱいに広がる。いくらには唐津産のウニをのせて。のどグロ(赤むつ)は炙って四種類の薬味を掛けて。烏賊は包丁で味付け。玉は葛が入っているのかと思うようななめらかなプルプル食感。すべてのネタにシゴトを施し、単に薬味をネタに乗せるだけのトッピング鮨手法のそれとは全く異なる深い味わい。目でも喰わせる至高のシゴトを、店主許諾の上でアップする。

カワハギと肝添えに自家製紅葉おろし

今が旬の小アジ

珍しい生のカンパチ 粕酢との相性が最高

生からの炙りトロ  薬味が四種

オクラ+まぐろの削り節+梅肉少々

旨いには理由があるが、旨いにも程がある。
本年4月21日開店の鮨かず矢
福岡市中央区薬院四丁目15-29 香ビル一階 店主田中一矢氏28歳
昼11時30~14時 3,240円&5,400円 夜17時~21時 10,800円~
(KKRホテル裏)

◆掲載後店主からは予約殺到という声が入り、また読者諸兄からは面白い、興味深い等との声が寄せられ筆者として汗顔の至りである。『マズかった。無駄だった。気分悪い。金返せ!』読者がそんな失敗をしないよう、炭鉱のカナリヤになるべく、愚生は今日も食べ歩きを重ね、大きな分母からの一店舗を紹介していきたい。

 

 

 

 

好評につき~【口福探訪シリーズ;鮨職人②】

当然のことながら、その店では脱法ドラッグたるタバコは店内では決して吸わせない。冷蔵庫は氷式にて、ネタの旨みを閉じ込めている。先ずは赤酢の効いたそのシャリ。宮城県県央部の一部でしか獲れない至高のササニシキ。こいつは人肌温度が最も旨い。握った際に空気をまとい易いよう、通常であれば古米を配合させるところ、全粒新米でありながら粘りを押さえ、一粒一粒がハニカム模様に並ぶその姿は、シャリにも“踊り食い”があるのかと思えるほど口腔内で息を吹き返し、ネタ要らずの旨さ。更に、ネタによっては炙りで温度変化を喰らわせる。例えばそれは、皮の一部を切った上で軽くあぶり、身と皮との伸縮率を計算したうえで供される。前述のシャリと皮と身と三位一体の味わいに温度変化も楽しませる3D技法は、同業さえも唸らせるもの。極上の味と香りを漂わせるアナゴは瞬く間に口の中で蒸発。煮ツメに水あめ臭さが無かったことは驚き。鉄砲巻きの干ぴょうは栃木産の無漂白品。堅い食感は素晴らしい。ガリは生から作り、ワサビは静岡県御殿場山の真妻を使用。一般的には実生という品種のワサビで、一年で収穫可能だが、真妻は二年かかる。普通のワサビであれば夏場は特に、単なる緑色の大根おろし(笑)。水っぽくて風味も絡みも無いが、ここのワサビはネタのポテンシャルを顕在化させるもの。ネタ毎に仕事を施した純「江戸前寿司」は、巷の『江戸まね寿司』とは一線を画す。彼の技の前に、食した誰もが鮨の概念が根底から覆されるだろう。

それではお待ちかねの店名を以下に紹介しよう。

福岡市中央区高砂一丁目22-10 すし幸徳 531-2311(土鍋でシャリを炊くため、事前に要予約。夜の部は会員制) 店主、森下幸徳氏。まだ38歳であるが、キャリアは23年のベテラン。大野城市から満を持してこの2月に福岡進出。今の彼を超えるのは、もはや明日の彼しかいない。恐るべし力量。永年信じて通い詰めていた、貴方の行きつけへの評価が激変するであろうことには注意が必要である。

鳥貝|銚子産 生の鳥貝。殻むき。同時に紐も食した。

いわし|島根産_鰯の概念が根底から 覆った一貫。

こはだ|米酢ではなく、赤酢で〆た天草産。 塩は種子島産

アナゴ|対馬産_煮詰めがまた絶品! 因みに尻尾の方が運動量が多い為、肩の方よりも美味。

小アジ|金崎漁港産を軽く〆て。今が旬!

最後に、店構え|銀座の名店よりも確実に美味。その上、コスパは最高。

好評につき~口福探訪シリーズ⑤~カレー編

7月30日にオープンしたカレー店の評判を聞きつけ、北九州に飛んだ。小倉駅から徒歩数分程度のオフィス街に佇むその店は、名をサンタクロース亭といい、ネーミングに違和感を感じたものの、のちにホームページで由来を見るに思わず膝を打った。ロケーション的には近隣には飲食店も多く其々が個性を競い合っているエリアにある。

【インド人のカレー観】
◆旧知仲にある在日インド人は言う。カレーは、ナンやライスがおかずで、ルーが主食であると。『僕ら(インド人)は、毎日カレーを食しているからこそ、毎日食せる味が大切。一か月に一回食べたいと思うようなものではいけないし、“たまに食べたくなるものは身体に良くない”という言い伝えもある。』流石にカレーになると熱い想いが込められるようだ。更に、『日本人の考えるカレーって、ご飯がないと食べれないものばかり。これは絶対に違う。本場ではルーこそが主食だから、ライスが無くても食せるよ』。サンタクロース亭を後に、私は初めてその意味が解った。

【待ち時間】
◆訪店は、平日の13時を回ったところであったが、店内は満席状態で、入り口付近の長椅子にて順番を待つ。ヒートテックならぬ“ミートテック”を身にまとう愚生とっては暑い中、空調の利いた店内で、着座での順番待ちは大変助かる。車の往来が多い店外に客を並ばせたくない。安全にお待ち頂きたいという店側の気配りが透けて見える。着座した目線での視界には、整然と並ぶ無数のスパイスボトルが目に入り、自然と味に対する期待が膨らむ。客層は場所柄サラリーマンが中心と思いきや、御老体やマダム集団など一定の傾向は見られなかったものの、その全員が皿と口との間を物凄い勢いでスプーンを行き来させており、しかもその目は真剣そのもの。「一体、どんな味力に憑りつかれているのか?!」店内に漂うスパイスの香りが想像と期待にブーストを掛ける。

出番を待つスパイス群

【オーダー】
◆行列三番目の私が呼ばれるまで五分とかからなかった。メニューは至ってシンプル。ルーのみのスタンダードなオニオンカレーとカツカレーの二種類。カツのトッピングは、1枚から3枚まで選べる。私は、自称グッドシェイプを維持するために、カツカレー二枚乗せをオーダー。


◆待っていると、隣席の御婦人方が水飲みコップを「バカラみたい。高そうねぇ~」と品評している。見れば確かに高級感が漂う。手に取っても重量感がある。私は、その店の味を評価するために、先ずは水を吟味するのだが、ここの水は合格。スッキリとしてサラサラと口腔内に染み渡る、正にカレーに合う淡水。こだわりがあるのかは聞き忘れた。このような小さな納得の積み重ねが、大きな満足へと繋がるものだ。


(続く)

口福探訪シリーズ;鮨職人④

巷のテレビ番組では、料理人デフレとも思えるほど様々な料理人が出ているが、先日名シェフ紹介のグルメ番組を見た際に愕然としたのは、使っている食材が業務用の冷凍食品で、これでは料理人でなく、調理人ではないか。

料理人ランク分けの最高峰とされるものの、“フランスの国際企業だけに、外国人を雇用している店舗は評価が高い”などと揶揄されているミシュランガイド。発売地域では様々なハレーションが発生しており、昨年福岡・佐賀版が発刊された地元ではどうかというと、逆にミシュランガイドそのものに対する皮肉な評価が湧き上がった。

今回訪れたのは、そのミシュランガイドでシングルスターホールディング(☆ひとつ)店として139ページ目にノミネートされた、“たつ庄”である。ここで食した誰もが感じるであろう疑義は、ミシュラン評価の妥当性に対する問題だ。そう、余りに不当な過小評価なのだ。すなわち、3ツ星相当がこの店の正当な評価である筈だ。

ハァ?何が一つ星か?!

味の分からぬ残念なリーマン審査員がジャッジした評価に意味は無いが、多分次回刊行時には、相当の評価に置き換えられるものと確信しているし、また、そうでなければミシュランガイドブックの正当性に対する疑義が噴出するのではないか。

前置きが長くなったが、今回お邪魔した“たつ庄”は、「庄」の字が語るように、歴史と伝統ある「河庄」出身の店主であり、今年10月で開店8周年となる。伝統を守り抜くと言う点では保守派だが、改革を忌避しない点で守旧派ではなく、その味は既に出身母体を立派に超えている。福岡は、酒のアテに軸足を置いた、つまみ重視系の割烹寿司が多い中で、“たつ庄”は数少ない本種本流の和食鮨と評したい。

鮨の旨否を決定付けるシャリは、古米が配合されているのではと思われる。その艶、香り、味、粘りともに最高。聞けば、某銘柄米との事で、この銘柄は冷めると不味い品種の筈だが、その概念を一掃するほどだ。酢飯の味付けとして、地元特有の甘ったるさを排除した点は特に高く評価したい。シャリが一粒ひとつぶ、粒立っているのが良くわかる。そして、米一粒ずつの輪郭が口腔内でハッキリと分かるのである。これは、コメの表面が砂糖で犯されていないからであろう。
常連からは、旨いものしか作れないと賞され、若手料理人達からは目標とされているのが店主の立石修二氏(45歳)。魚種ごとに、〆た後最も美味となる時期を知悉しているようで、エイジングされたアラの熟成振りには感動すら覚えた。愚直なまでの、味の求道者といえる仕事ぶりである。車海老もボイルと塩加減が絶妙で、尚且つシャリの上で踊っているかのような風体の握り方。アナゴは醤油の加減が絶妙。思わずうなったのは、アオサ入りの潮汁。一体どのような工程が伴えばあのようなアウトプットになるのか、謎は深い。時間と包丁で味付けする名料理人でありながら、未だ満足はしていないという立石氏。

秘密のベールに包まれたミシュラン獲得店の実態を、店主承諾の元、福岡県民新聞読者のみに公開しよう。しかし、言葉や写真でその味を表現する事は不可能であり、体験しなければ決して分かるものではない事を書き置く。

それでは訪店前の予習の為、紙上食事会を開始する事としよう。

◆鯛の昆布締め|煎り酒が利いている一品。味が分かる大人にこそ味わってもらいたい。
本鰹|この時期は、葉鰹よりも美味。藁で燻っている。味と香りとのバランスが絶妙。

太刀魚|皮だけは固い為、炙りで。温度変化も喰らわせる。料理は化学反応だと気づかされる。

赤身|宮崎産_エイジングは二週間。女体とマグロは腐る直前が美味などという美食家も、中にはいる。


そしてアワビ。_結構年配のもの。臭みがないツメは、煮汁を使っていないのではと思われる。醤油も複数のブレンドでなければ、あの味は決して出せない。

アナゴ|ワサビとツメで。最適な煮込み手業。味も香りも全く飛んでいない。お見事。

◆潮汁|これは危険な一品。その味は、写真でも言葉でも表現できる範囲を超えており、一度食したらアウト。習慣性が高い。

地タコ|長崎産_乳房のような柔らかさ。しかも、食感が味とバーターになっていない。一体どのような工程を経ると、このような素晴らしい食感と深い味わいになるのか。

おこぜ|調味料は時間。かぼすとのマッチングが絶妙♪その技で、魚たちは口の中で生を吹き返す。


たつ庄
福岡市中央区高砂一丁目19番28号 エスポワール渡辺通南102
電話 092-522-3390
営業時間 昼11:30~14:00 夜18:00~22:00 日曜日休み

◆料理人と客との関係は、カギと錠であり、合う・合わないが存在する。しかしこの店に限ってそれは全く当てはまらない。口腔内で踊る鮨には誰しもが唸り、誰しもが驚き、そして多くは感涙を流す程である。接待で赴いた他店での事だが、「ごひいきはどちらで?」と聞かれ、『たつ庄!』と答えるや大将のスイッチが入り、趣向を凝らした良い物が出て来るという経験もした。それほどまでに同業筋でも名の通った店である。貴方の行き付けはその名を出した時に、果たして同業にプレッシャーが掛けられる店であろうか?

 

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デベロッパー マンション名 地区 設計事務所 戸数 備考
第一交通産業 THE CRODO薬院浄水 中央区薬院 アルシスホーム 36戸 27/4着工予定、8階建
住友不動産 西新5丁目計画 早良区西新 大豊建設(解体) 52戸 28/11解体完了予定、14階建
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JR九州 MJR九大学研都市Ⅲ 西区西都 醇建築設計 161戸 27/7着工予定、14階建
積水ハウス 平尾4丁目計画 中央区平尾 司建築設計 26戸 27/4着工予定、14階建
ダックス 西新職員住宅計画 早良区西新 三和興業(解体) 27/6解体完了予定
西武ハウス 姪浜アパート解体 西区姪浜 アスミオ. 27/3解体完了予定
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積水ハウス 大濠1丁目計画 中央区大濠 松鳳建設(解体) 27/6解体完了予定

夢みるこども基金

歯科医院などで治療の際に取り外された、補綴金属冠のリサイクル益金を浄財に、こどもたちの夢を実現するボランティア活動を、最初に考えだしたのは読売新聞西部本社のF記者で、本業である新聞記者の取材の傍ら、組織を作り定年後も仕事を続けて、早いもので今年20年を迎える。 続きを読む